横浜山手の家----Yokohama-house 1999

 

横浜山手の土地は、丘上の土地で細い道があちこちにある。土地の成り立ちを考えると、丘の斜面 を切り通し、残余の部分を平地にして敷地とする構造があることが分かる。丘を切り通 すわけであるから、当然敷地はその道より低い場所か高い場所かがほとんどである。この住宅の敷地は高い場所の方にあり、道に対してあるボリュームの土の塊(台地)を所有している。 この住宅では、機能としてピアノ教室、また、それに付随してトイレ、手洗い場が要求された。限られた土地の中の2層分のヴォリュームではそれを収めるのが困難であったため、ピアノ室は地下が適当であると判断した。ピアノ室が、地下としてなにがしかのボリュームを必要とすることから、それは台地に見立てられる。外部からの動線を必要とすることから、敷地という枠の中で、切り通 しの道の分岐が住宅の内部に持ち込まれた。道の分岐である廊下は、南側の道と東側の道を結ぶように設定され、切り通 されることによって残余となる部分を台地として捉えることとした。台地は廊下によってふたつに分かれ、島のように残った台地は、その廊下沿いが収納空間にあてられ、見立てられた台地の下には、ピアノ室の他に、浴室、洗面 、台所という水廻りが配された。台地の上は、それぞれ空っぽの機能であるリビング、ダイニングがあてられ、寝室は2階に配された。廊下とその上に設けられた階段、そして上下を貫く構造の鉄骨材によって各スペースは分割され独立性を持ちながらも、空間を介して一体となっている。

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ATSUSHI YAGI ARCHITECTS & ASSOCIATES